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ゲゲゲの鬼太郎 6期 ☆第33話 から「約束」「誓い」について

参考サイト http://anicobin.ldblog.jp/archives/54455354.html

「狐の嫁入りと白山坊」・・・虚空 記

「約束」ということについて深く考えさせられる回でした。
妖怪ギツネの白山坊が娘を奪いに来るのを助けてほしいという父親からの依頼でやってきた鬼太郎。でも実は父親が以前、娘が18歳になったら嫁にやるということを条件に白山坊に助けてもらったということが明かされ・・・鬼太郎は「約束があった以上は介入できない」と父親を突き放します。(詳しくは参考サイトをご覧ください)
そんな鬼太郎が冷たいというように娘に同情する猫娘たちは言いますが・・・私もどちらかといえば鬼太郎の考えに近いですね。
無論、娘さんにしては自分の知らないところで勝手に父親がした約束であるし、戦前の発想ならいざ知らず、現代社会の風潮からすれば、親のした約束と自分とは関係ないというのがあたり前かもしれません。
そういった点では猫娘さんたちの同情する気持ちも分かりますし、娘さんも気の毒だとは思います。
鬼太郎だって、心の底では娘さんが気の毒には思っていた事でしょう。
問題はこの父親の構えです。自分が助かりたいがために娘の将来のことも考えずに白山坊の力を借りて財を得たにも関わらず、いざ娘を差し出さなければならなくなったら、白山坊が極悪な妖怪と偽り、鬼太郎に退治を依頼したわけですから。
しかも過去の約束が明らかになっても、謝るどころか、お金はいくらでも出すから娘を助けてくれという始末。
人間として不誠実極まりないです。
江戸時代の暮らしについて書かれた本の中に、「約束を守る」ということについて江戸庶民は非常に厳しかったというようなのを読んだことがあります。約束も守れないような人間は一人前の信用ある人間として扱われなかったと。
特筆すべきは「酒の席」だとか「口約束」だとかの、現代では「破って当然」「そんなの約束したうちに入らない」と平然とした態度がまかり通っているようなことに対してこそ、厳しかったということです。
口約束や酒の席の約束だから破ってもかまわない ではなく そうした約束こそ大事であり、それも守れないような人間は全く信用に値しないとされたそうです。
地位や身分が高かったり、大きな商売をしているような家の場合は尚更。それを幼い頃からたたきこまれたそうです。
これは現代人が見習わなければならないことの一つだと思います。
今回の場合は、証文まであった・・・鬼太郎が怒ったのは、それにも関わらず約束を破ることに対して娘が可愛いのだから当然である・・・自分達に同情してほしい・・・そういう甘ったれた父親への姿勢だったのではないでしょうか。
今回はアニエスの言動も興味深かったです。
このブログ記事のテーマからは外れますが、まずみんなが娘さんを助けようと準備しているときに「すみません、私なんかのために」といかにも日本人らしい言葉を発したことに対して「その言い方やめてくれる」とたしなめた場面。日本人の「謙遜」の文化には不慣れな西洋妖怪からしてみれば、せっかく助けようとみんなが努力しているのに、肝心の本人が「私は助かる価値のない人間です」というような言動をするのは我慢がならなかったのでしょうね。
もう一つの場面は、娘を西洋妖怪から命がけで守ろうとした白山坊に頼まれて娘を連れて逃げるところ。この時点で絶対に必要な指輪が娘の体内にあるから、今この娘を殺して指輪をとりだせば、世界を救うことができる・・・一人の犠牲で大勢が助かる・・・そんな想いがアリエスの頭によぎるわけですが、最終的には娘を助けます。
どうしてかというのは想像するしかないのですが、その一つにはやはり「約束」ということに対しての白山坊の命をかけた真摯な態度、そしてその白山坊に託されたというのもひとつの約束であり、それを破ることはたとえそれで世界が救えても、何か大事なことが欠けてしまう・・・そんなことがよぎったのではないでしょうか?
白山坊の命がけの姿勢は「約束」だから守るというようなレベルを超越していました。
上原輝男氏は著書「心意伝承の研究」の「犠牲論」の説に「誓いは血交い」というようなことを書いています。盃をかわす際に血を混ぜるなんていうのもそうだし、そもそも昔の様に結婚までは純潔を守る・・・初夜に初めて・・・というのもまさに「夫婦の血交い」だったのではないでしょうか。
体中が傷つき血を流しながら娘を守る白山坊は、まさに結婚の誓いをしていたとも言えましょう。
最後には「約束だから守る」というのではなく、本当に誠実であるということで喜んで娘さんは白山坊に嫁ぎます。父親もそれを認めます。
単にこれはアニメであり、作り話であるとは片付けられない内容がつまっていた・・・賛否はあると思いますが、考えてみる価値のある内容がふんだんにあったと思いました。
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