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☆アニメ「少女歌劇☆レヴュースタァライト」より④ ~トップの地位でないとダメなの?~ 

あいかわらずの「トップの地位を目指すだけが大切」というような設定に違和感を抱き続けている虚空です。


能や歌舞伎の伝統芸能の世界ではどんなに才能があったとしても、それぞれの生まれた家によって「主役」「脇役」「その他大勢」などが一生決まってしまうのが原則です。そうした中で、それぞれが自分の果たすべき役割を精一杯にはたすことで、優れた時空を作り上げる・・・。


飛鳥時代の宮大工の発想を紹介して一時期「組織論」として話題になった「西岡常一氏」のことにもごく簡単に触れています。




☆2019年9月21日  諷虹宅

虚空 うちのオヤジがさ、「子どものすることは何でも勉強」って口癖のようにいっていたんだけど、深いところから突き動かされての趣味や遊びなんかは非常に大事だ、って。
それも今思い出した。


諷虹 神童についての言葉がありますよね。
「十で神童十五で才子二十過ぎれば只の人」
子どもの頃からできたというのは、やっぱり人間としてではなく、先天的に神から与えられた能力のような・・・


虚空 なんでこれがただの人になるかだよね。


諷虹 努力して身に着けたのとは違う特異能力・異質な力・・・まさに神業。
それが俗世に染まってしまうんですかね。人間界のセオリーに染まるからダメになる。

虚空 だからさ、何歳までにどういう行動をとれなければならないなんて、何の根拠があるのか。流れを示しておくことは大事だと思うけどね。自分のやりたいことを貫きたかったら、やっぱりある段階になったら周囲の助けも必用になるわけだし。
でもそれはそう思った時に切り替えられればいい。

本当に心の奥底・・・あるいはNanba先生の言葉でいえば現実的な円の外側を包み込んでいるものに誘引されての、大いなる偏りだったらそんな社会的な問題は起こさないだろうしね。
この流れの中で、例の少女☆歌劇なんだけどさ・・・・、ああ、今日大場ななさんのも観た。
キリンの真意がどこにあるかなんだよね。表向きはトップスタァを一人だけ選ぶために競わせるということなのか、本気で争わせているのか・・・


諷虹 本当にトップをみたいだけなんだとは思うんですけどね。争わせるというのは超えて、純粋。本当の煌きをみたいという・・・あれがキリンだからね。
人間だったら人間的な打算だのが入るんでしょうけど、キリンだから煌きの先の煌き・・・今まで観た事もない煌き。まさしくそういう高みをみているんですね。
全体的にみると、あの「なな」の意志を汲んであれだけループさせてレベルアップさせたというのも、みんなにとっての大きな壁を作ったのかな、って。


虚空 まああの姿は人間にとってごく普通の姿勢ではあるよね。過去の栄光にというだけじゃなくて、「あの時のあれが本当に良かったんだよ」っていう感覚は。
でもそれは時と場合によっては進歩を自ら止めてしまう。

*少女歌劇 7話を視聴しなおすhttp://blog.livedoor.jp/tirarin/archives/36729792.html(←書き起こしサイト)
みんなトップスターを本気で目指すべきなのに目指さないのはおかしいというセリフ


虚空 こういうところなんだよね。ちょっと違和感を感じるのは。トップの座・・・主役を目指さなければいけないというのがね・・・だって実際には台本を読んでこの主役には合わないかな、とか主役以外にだって自分は是非この役をやりたい、っていうことだってあるしね。

キリンとななのセリフ
「トップスター・・・運命の舞台に立つ者。無限の煌きを放ち、すべての才能を開花させ、時を超えて輝き続ける永遠の主役」
「興味ないわ。そんなの」
「わかります。ですが、あなたの望み・・・どんな舞台に立てるとしても」・・・・
「いつのどんな舞台でもいいの?」

⇒オーディションにトップ合格したのは なな 。あの時の舞台にもう一度
⇒ループ 入学の日から生き直し

なな『大切な仲間。大切な舞台。大切な日々の再演。私の再演の中にいれば何も怖くない。成長することも。大人になることもない。自分を追い込む苦しみ。新しいものに挑む辛さ。傷ついて、道を諦める悲しみから。皆を守ってあげる。』


虚空 これって形は違うけど「リリカルなのは」のプレシアだよね。過去と全く同じアリシアを甦らせなければ意味がないという・・・。
大きく違うのは、プレシアは自分のためだけ・・・でもななさんは自分の為にでもあるけど、「皆を守ってあげる。」という視点ではあるところかな。
マア、現状に甘んじていないで真剣に高みを目指そうとしている人にとっては余計なお世話なんだろうけどね。・・・それが真矢さんの態度にも出ているんだろうね。


諷虹 あとはなのはA’sの闇の書の意志の件もですかね。「せやけど、それはただの夢や」のシーン。あれも、現実的な苦しみから守るために、穏やかな夢の世界を用意していたわけですよね


イレギュラーが起きる(8話)


諷虹 互いに日本とイギリスということで離れ離れになっていたから・・・約束は忘れていないとはいえ、スタァライトの8人に選ばれたり(主役ではない)、2番手止まりだったのが変化したわけですよね。(4話 電話のやりとり→お互いの過去の話をしてそれまでの時間を埋めつつ、お互いに東京タワーに向かう・・・現実的にも精神的にも距離を詰めた?)


虚空 そこがね、二人の約束だから頑張っていこうっていうのは、それはそれで仕方ないんだろうけど・・・ただ、それとは別にトップを目指さなければダメというのがね。
「より高く、より激しく」というのが、主役だけを指すとしたらね・・・


この前からずっと違和感を感じていたのがこの部分。
それこそ多細胞生物じゃないけど、主役だけがどんなに輝いていたって、本当にいい舞台になんてならないわけだよね。それこそ端役から裏方のスタッフまですべて。
人間の健康な体だってそうだよね。重要臓器である心臓とか脳とかが優れていれば、あとは輝きを失ってしまってもいい、脱落者扱い・・・・それは違うとね。

もっと言えばさ、日本の古典芸能の世界・・・一番はっきりしているのは能の世界だけど、シテを演じる事ができるのはシテ方の家に生まれた人だけ。生まれた家によってもう配役の運命が決まってしまっている。歌舞伎にも似たようなところがあるよね。
どんなに優れていても、努力しても、「じゃあ主役ね」とはならない。

これも日本舞踊の家元の家に生まれた知り合いから聞いたことだけど、歌舞伎でもお供の武士役なんかは出てきてしゃがみこんだら、主役がセリフを長々と言っている間もピタッととまっていなけりゃいけない。

その時に、じゃあどのくらいの間、本当に全く体をうごかさないでしゃがんだ姿勢を続けられるかというのが、自分を精一杯みせるかなんだって。
そこで同じような立場の人達同士で切磋琢磨して張り合うんだって。

宮大工の組織論なんかも、英才児の個人と社会性とのかねあい、あるいは本当にごく一部に特化することと、少しでも広がりをというのを目指すのかというのに大事なヒントになると思っている。(西岡常一の著書等々)


諷虹 この『ポジションゼロ』というのも面白いですよね。本当にある用語なのか、このアニメの造語なのかわからないですが。
単純に原点というのもとれるし、始まりの点とも考えられるし。目標ということでいえば到達点とも考えられるし・・・そこに立てるのは一人って強調してるじゃないですか。
「ゼロといち」というような。
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☆アニメ「少女歌劇☆レヴュースタァライト」より③ ~組織論・夢の世界 等々~ 

最初は虚空がこだわり続けている「日本古来の組織論」からみたこのアニメの「きりん」の言動に対する違和感。輝くトップ一人以外はみんな煌きを失うという設定で、魅力的な舞台ができあがるのか???という。


そこから「夢の世界」という話へ発展します。歌舞伎で西洋演劇のようなカーテンコールをやったらどうなってしまうのか、ということから、やがて所ジョージ主演でリメイクされた「私は貝になりたい」の放送時のCM問題に虚空が言及します。


CMの話題が「スポンサーである企業との関係」という話になって、かなり古い特撮番組「ナショナルキッド」の話題にまで話はとびます。




☆2019年9月14日 諷虹宅
(虚空5話6話を視聴してということから)

虚空 自覚が第一歩だからというのが基本っていえば基本っていう・・・そうしたことや、主体性の目覚めをきりんがもくろんでいるのかどうなのか・・・

表向きはトップだけ選ぶということだけど、本当にいい舞台をつくるのは一人だけのスターがいてもダメなのは演劇とか芝居の常識じゃない。脇役は脇役、端役には端役、それぞれの違った輝きがなければダメだよね。

それを最終的にキリンが狙っているのかどうか・・・本当に一人が勝ち抜て、他のメンバーがやる気を失ったら、いい舞台なんて作れっこないからね。
(略)

諷虹 ただ単に監督が可愛いと思ったからきりんを出したというけど、「首を長くして待っている」という意味合いも・・・。
今一番輝きそうなキャラの組み合わせを見極めているような

女子プロレスの組み合わせもそういう観点があるって聞いたことがあるんですけど・・・ふだんもいがみあっている同士の試合をわざと組むとか。


虚空 どこでその情報を知っているかだよね。
もしかすると正体がばななじゃなくても、時間移動で情報をもらっていたりして・・・


諷虹 超法規的な存在
きりんじゃなかったらウサギでも良かったかもしれないですかね。前にも話しましたけど「鼻が長い」「首が長い」「耳が長い」とかはそういう共通点がありそうですね。
ローゼンメイデンのラプラスの魔とかも

虚空 あとあれだよね・・・うらら迷路帖の変なの・・・


諷虹 くろう(お父さん)・・・あれもウサギっぽいですよね。


虚空 月に「うさぎ」を観たという日本人の感覚・・・だからセーラームーンもあんなに幼い子ども達から受け入れられた。大きなお友達ばかりじゃなくて、ちゃんと幼児から。
あのキリン、服をきていないだろ。ウサギはタキシードを着たりしているけど、あの野生の姿のまま客席にいる


諷虹 純度100%のキリン。野生の草を食べているそのまま、何のデフォルメもされていない
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一つの考察例
「少女歌劇レヴュースタァライト」はなぜ『東京タワー』と『キリン』なのか
https://animereal.hatenablog.jp/entry/2018/10/01/005739
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諷虹 将来の夢という意味での「夢」と、夜みる「夢」って英語では同じなんですかね・・・

(ネット検索)
dreamとは
主な意味
(睡眠中に見る)夢、白日夢、夢うつつ(の状態)、(心に描く)夢、(実現させたい)理想、夢かと思うばかりのもの
wiki  での夢記述


諷虹 やっぱり人間の根幹なんですね。
(将来の夢は DREAM の訳からという記述)
じゃあ日本人は将来の夢っていうのをどう思ったんですかね。


虚空 将来なんてないっていう感覚もあったからね・・・特に幕末とか戦時中の若者は
「志」っていうのはあったと思うけど。
まあ、今の自分もさ、ここ何年間かは「今年の夢は」なんて正月に聞かれると、ついつい「年内いっぱい生きられる保証もないのに・・・」なんて思っちゃっていたからね。
「今の志は・・・」って答えればいいのかな。


諷虹 来年のことを言うと鬼が笑う、っていうのは何故なんでしょうね。
(ネットで調べるがいまひとつハッとするような説がない)
あざ笑う感覚が強いんですかね。定年後とかのために貯金とか・・・。
江戸庶民が宵越しの金は持たない、っていうのとは逆。
あとはやっぱり「そんな思い通りになんてならない」っていう感覚があったのかもしれないですよね。まちカドまぞくでも シャミ子はあのような共闘は全く考えていなかったんだろうし。

虚空 どうなるか分からない先々を考えすぎるよりは、今宵生きていることだけは確かなんだから・・・っていう感覚だよね。
それこそ、いつ何どきポックリいくかは分からないんだから、確実な時にやりたいことはしっかりやっておく。
今の自分が立て続けにブログアップをしているのもそんな感じだから。


諷虹 夢も何が起きるか分からないから・・・自我がはっきりしているときは俯瞰視点・・・これは夢だろうな、って意識した瞬間に夢から覚める。


虚空 この前高校生に高下駄の話をしたんだけど・・・ヒマワリフクロウさんのお姉ちゃんのこと。家庭教師の始まる前にルンルンで歩き回っていたのが「そろそろやるよ」って声をかけたら「えッ、もう」って口にした瞬間にドタッって転んだ。あの瞬間、ハッとしたよ。


諷虹 (落語)死神のラストも「ほぉ~ら消えるよ~、消えたら死ぬよ~」って言ってビビらせるところがミソですよね。普通にやったんではろうそく付け替えられて終わり・・・てなっちゃいますからね。

(オチで演者が倒れて終わる)

普通に「おあとがよろしいようで」と終わらない所が死神の不安定さをより強調しているような・・・噺の中のお話じゃなくて、実際に死んだのかも・・・とまで思わせるような。
シュレーディンガーの猫じゃないですけど、緞帳が締まっているから観客からは演者が起き上がるのを観測することができない・・・という意味では夢50%現実50%が同居している状態になる・・・

(カーテンコールのこと  歌舞伎や能では行われないのは何故か 「アタシ再生産」との関連)


諷虹 今勧進帳をイメージしたんですけど、あの引っ込みのあとに、弁慶が出てきて挨拶なんてしたら逆に変だろうな、って


虚空 たしかにそうだね。演じている時には、土浦の時にも出たように、屋号を叫んだりしているから、役だけじゃなくて役者そのもの観ているような感覚があるけど・・・能なんかでカーテンコールなんてやったらそれこそ・・・・面を外してみせたりなんてしたら。


諷虹 歌舞伎調での挨拶・・・


虚空 それが必用な時は「口上」っていう一幕が用意されるわけだよね。原則として。
たまーに例外として、芝居の最後に、いきなりご挨拶になるというのもあるけど・・・。


参考
「大向う」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E5%90%91%E3%81%86
虚空 さっきのカーテンコールの話なんだけど具体的に想像するとやたらおかしい


諷虹 西洋演劇ってそういう意味では素にもどっても違和感がないっていうことですよね。死んだ役の人が笑顔で挨拶とかしてても
歌舞伎とかだと、いきなり素に戻っちゃうと「死んだ人とかが生き返る」というのが興覚めしちゃう。(義経千本桜 大物浦)碇と共に沈んだのにカーテンコールで生き返ってでてきてしまったら・・・


虚空 あの幕ひきのあとの見せ場が、弁慶がほら貝を吹くところなんだよね。弔いをやっているんだから。劇場全体で知盛のお葬式をやっているという演出なんだもんね。それが出てきちゃったら余韻も何もないぶち壊し。


諷虹 あと私が観たことあるのは寺子屋ですけど、首を打たれた子役がそのまま出てきたら・・・


虚空 フト思い出したんだけど・・・「私は貝になりたい」っていう伝説のテレビドラマ・・・モノクロ初期にフランキー堺さんが演じたすごいドラマがあったんだけど(虚空は再放送でみた)、それを所ジョージ主演でリメイクしていた。

本放送の時に観ていたら、クライマックスの処刑のところでCMが入って、それが所ジョージが出てくるCM。すっとんだ明るい感じのCMが突然入ったのでビックリだったよ。さすがにあれは新聞の投書でも非難囂々だった。だって、これから処刑されるっていうことでしんみりしていた所ジョージのあとに、そのCMだったから。それでまたドラマが始まったら処刑シーンの続き・・・。
あれってテレビ局の人達はどんな神経をしていたんだと思うよ。そもそもCMなんか挟んだらぶち壊しになるようなところで、よりにもよってギャグっぽい所ジョージを出すなんて。
ネットより
1994年テレビ版(所ジョージ主演)
「私は貝になりたい」は1994年に再びテレビドラマとして復活しました.
 
所ジョージ主演で,いくつかのドラマ賞を受賞しましたが,賛否両論でした.
 
中でも,このリメイク版のスポンサーに所ジョージがキャラクターと
なっている商品の会社を揃えたため,ドラマとCMを通して
「全編所ジョージ」状態
になってしまったことです.
 
特に,シリアスなドラマから突然「とかちっち!」などという
所ジョージのふざけた姿に切り替わることに耐えられないという苦情が
TBSに殺到したようです.
 
平均視聴率は18.2%(関東地区ビデオリサーチ)でした.

諷虹 芳文社CMとか一迅社CMとは、入るのが楽しみっていうのがありますよね。


虚空 そうそう。でもね地上波で映画をやる時みたいに作品を台無しにする入れ方ってひどいじゃない。ああいうCMなんてみると反感しかないからね。商品だったら絶対こんなの買うか!っていうような。

諷虹 長寿番組のおなじみのCMっていうのもいいですよね。♪ロート とか ♪この木何の木 とか・・・。「笑点」で「青雲」のCMっていうのもすごいと思いましたけど・・・ブラックジョークで。

虚空 CMも含めてその世界が出来上がっているのはいいんだけどね。
企業とタイアップの走りなんかじゃ「ナショナルキッド」なんていうのもあったけど・・・武器はどうみてもちょっと変わった形の懐中電灯。
https://exvisio.exblog.jp/940842/
よりの抜粋一部
ちなみにキッドのおじさんの武器、エロルヤ光線銃は
敵を軽くしびれさすことから、なんと巨大な円盤まで破壊できる万能光線銃なのですゾ。
原作者、脚本家、制作スタッフの方々の尋常ではないノリノリぶりがうかがえます。

実はこれを資金面でドンとサポートしたのが、スポンサーの松下電器。
当時のテレビ番組制作費相場の5倍とも10倍ともいわれる資金を提供したそうです。
たとえば、キッドのおじさんをピアノ線で吊るなんてヤボはせず、当時最先端のブルーバック合成。

お金かかります。

さすが世界の松下!ええもんつくるんやったらなんぼかかってもかまへんってことですかね。太っ腹です。

会社の名前がそのままキャラクターのネーミングなんだから、これ以上の宣伝効果はない!
エロルヤ光線銃なんか、デザインそのまま松下の懐中電灯で売り出し、
当時のちびっこは、ふろしき首にキッドごっこに狂喜乱舞したとか……

アニメ「少女歌劇☆レヴュースタァライト」より② ~上原輝男「犠牲論」等々~

上原輝男先生の「犠牲論」折口信夫先生の「貴種流離」などと結び付けてのやりとりです。


このアニメでは地下のオーディションでの勝者はトップスターとして輝き、敗れたその他の面々は輝きを失って舞台への情熱なども失せると。


その設定に「素晴らしい演劇は一人ではできない」という観点から違和感を抱いた虚空がいろいろと突っ込んでいます。




☆2019年9月13日 諷虹宅
(先週話題になった 少女歌劇 諷虹は全12話視聴済み。虚空は4話まで。)


諷虹 少女歌劇も母胎回帰性とかにつながりそうな気がしています。あとは、温かさと言うか熱さ・・・情熱・・・


虚空  あの4話でさ、転校生が水族館でクラゲのところばかりに行くっていうのも何だか意味ありだね。なんでクラゲが好きなんだろうね????


諷虹 もう一回過去回があって、その時にちょっと出てきたような・・・出てこなかったような・・・


虚空 あとはさ、あの主人公がつけている髪飾りのデザイン、あれもね・・・


諷虹 あれは交換しあっているんですよね・・・なのはの髪飾りのように


虚空 交換っていうのは基本的には クロス 「×」(かける)のイメージだよね。これがもっと極端になると「誓い」=「血交い」・・・上原輝男説だけど。


(前半のダイジェストを視聴)
https://www.youtube.com/watch?v=GxAZk5EWxEo
(監督インタビューをネットで読む)

諷虹 改めてこのインタビューの「再生産」っていうのもね・・・。土浦で難波先生と語り合った時にも西洋演劇と歌舞伎の違いっていう話が出ていましたけど・・・・演者の意識を残す歌舞伎や宝塚と、役者名を消していく劇団四季。
どっちを再生産するのかですかね。「自分」を再生産するのか「役」を再生産するのか


虚空 これを拡張するとさ、周囲に合わせて・・・極端にいえばちょっと前に流行ったような「場の空気をよむ人間」として演じているような意識の自分なのか、そうでない「素の自分」と自分で思っている自分・・・・どちらを再生産するのか。

本当は「どれも自分」の側面だし、「本当の自分」「素の自分」はこうなんだ、と思っていても、隠れている自分の方が無意識世界にはやまほど存在しているしね。
それらを含めると「自分再生産」っていろんな次元でつかまえられる。

そもそも「自分」っていいうつかまえ方が西洋流と日本古来ではかなり違うしね。

土浦でのNanba先生の言い方をすれば「小さな自分」と

諷虹 あと、空から滑空しながら変身する・・・浮遊感っていうか・・・
(ビデオ、地下の秘密オーディションで闘って上掛けを落としたら負けという設定になっているシーンをみて)

虚空 それもさ、是非キリンに質問したいのは、何故「舞台少女」としての闘いで、肩にかけている上掛けが地面に落ちると負けになるわけ?演じる能力とは関係ないじゃない。
何でだろうね???

ネット
上掛け
舞台少女のレビュー服に掛けられた衣装。
上掛けが地面に落ちるとレヴューで敗北になるため、互いにボタンを狙って戦う。


諷虹 特に理由は明かされていませんけど・・・上着が落ちるのと緞帳が降りる感じと似ているんじゃないですかね。実際に緞帳が降ってくるし。

スポットライトをあびることが出来なくなる・・・影の存在になる・・・影を落とす っていうのとかけているのかもしれないですね。
https://www.nicovideo.jp/watch/sm33517515

虚空 そのあたりのこと・・・「自分再生産」とかも含めて・・・・上原先生の「母胎回帰と闇」「死と再生」「トランスフォーメーション」・・・「犠牲論」「恨み論」とかとの接点が出てきそうな予感はあるよね。
「恨み」って「裏見」と通じる、なんていう記述があるわけだし・・・。

(主席の子)
「あなたは何を差し出した」・・・・「犠牲論」の「交換条件」との関連?

諷虹 この天堂真矢(主席)は慢心しない王者って感じが・・・王者のポジションのキャラって大抵慢心だったりとか立ち止まっている感じがありますけど、この天堂真矢は常に自分を意識して追ってきているクロディーヌの事を認めていて、追いつかれないように自分も走り続けている、切磋琢磨している感じがあって。だからこそ、幼馴染が帰ってきて思い出したようにトップスタァを目指す主人公に対して・・・という部分もあるんでしょうね(3話レヴューを見返しながら)


虚空 この地下のオーディションで破れた子って結局最後はどうなるの?


諷虹 ネタバレになりますけど、実は輝きを失ってしまうんですよね。


虚空 失って終わり?


諷虹 失って終わりなんですけど・・・舞台に対する情熱とか憧れがなくなってしまう。・・・優勝者が決まると、敗者の輝きを得てものすごく輝く。
舞台少女としてはある意味で死ぬのかもしれないなって


虚空 じゃあたとえばあの文化祭の劇には出ない?


諷虹 実はひかりはイギリスで一回負けているんですよ。で、何のために演じているかを見失う。目的がわからなくなる


虚空 まあ4話までしか観ていないで勝手なことを言うと、演劇ってさ、スターだけじゃ絶対いい舞台にならないわけだよね。どんな端役だって大事だし、裏方のスタッフだって大事だし・・・。そのあたりの「演劇」に対する意識っていうのをどう位置付けているのかは気になるところ・・・。
さっきの「裏見」もそうだけどね・・・「輪廻転生」の話がちょっと前に出たじゃない。釈迦だっていろんな体験をする。日本人でいえば「貴種流離」・・・セーラームーンで本来月のプリンセスがドジで間抜けで泣き虫として転生しているとかに深い意味があるとかね。

日本人古来の発想からすると、オーディションで一位になった子よりも、負けて輝きを失った子・・・最もどん底に落ちた子の方が、特異な子ということになるわけだよね。
現世での挫折や失敗や不幸が、あちらの世界に行ってからの「神格レベル」への約束手形のような発想。

そういった側面がこの作品にあるのかどうか・・・「自分再生産」とか「緞帳」の描写との関連で・・・。緞帳って閉まっても必ずまた開くわけだから。
監督さんとかが実際の意識でやっていることは違う場合だってあるわけだけど・・・心意伝承でいうと無意識だから本人だって気が付いていないことだってあるから。


諷虹 そういう意味では目的を見失った ひかり が日本に戻ってきてというところ・・・


虚空 それを再起動させるために水族館のクラゲ?????あと東京タワー???


諷虹 ひかりの目的は華恋を地下のオーディションに出さない事だったんですよね。自分と同じような挫折を味合わせたくないって感じで


虚空 イギリスで負けていても、日本でまた参加できるの?


諷虹 キリンさんがそこは導いてくれたような・・・
(ネットでの解説記事をよむ)

虚空 無理やりこじつけるわけじゃないんだけど、やっぱりこのネタバレ記事を読んでもさ、「母胎回帰と闇」「死と再生」「犠牲論」とかがチラチラしてくるよ。
まさに「貴種流離」の物語。
一度光が消えたのが、再起動した方がより輝く可能性がある・・・神話でいうと、兄に殺されるたびにパワーアップする大国主のような感じ

このキャラの名前が「神楽ひかり」っていうわけでしょ。そういうことが暗示されているような・・・
そこまでスタッフが神話に詳しいかどうかは知らないけど・・・でもそんな感じがする。


諷虹 そういう見方をすると11話12話あたりのことが分かってくるような気がしますね。

虚空 貴種流離なんて最近はあまり使っていなかったけど・・・「母胎回帰と闇」っていうのが、そういった側面・・・犠牲論がらみ・・・になるかもしれない、っていうのは、このアニメと出会っての発想だよ。
まあまだおぼろげだし・・・実はあまり関係無かったっていうことになるかもしれないけど・・・。
(動画再び)
虚空 この上着を落としたら負け、っていう設定の裏にどんな意識が働いていたのかもやっぱり気になる。
(かえりがけ)

虚空 なんで監督さんはキリンを選んだのかね

諷虹 ネットに載っていますけど・・・可愛いと思ったからだとか


虚空 可愛いっていっても可愛い動物はたくさんいるじゃない。しかも客席だよ(笑)もっと普通サイズの動物を選ぶんじゃないの?
それをキリン。だいたいさ、アニメでキリンってこういった形で描かれたことなるのかな???
ディズニーアニメでだってあんまりないんじゃないの?
まあ、一度観たら忘れられないよね・・・あのキリンは。

☆アニメ「少女歌劇☆レヴュースタァライト」より① ~「星」に寄せる想い~

諷虹君から紹介されたこのアニメを通しての虚空との数日間におけるやりとり記録をいくつかに分けて掲載です。


主に「日本古来の組織論」「みんなのやる気」「主体性」等々に関してのことを探求しているのですが、アニメ内のセリフなどの引用が多々あるので、少し分かりにくいかもしれません。


アニメそのものにはあまり関心はないというかたは、そういった部分を読み飛ばして、赤い文字の部分やその前後あたりを中心に拾い読みという形で目を通してというのをお勧めします。


とは言いつつ、この一回目の記事の大半は、このアニメに登場するキャラたちの「口上」紹介が中心です。


「星」ということに関して人間が抱くイマジネーションの世界というところでしょうか。特に駿煌会でのこれまでのやりとりに関係するあたりを赤くしてみました。





☆2019年9月7日 諷虹宅
諷虹 この前友達と「少女歌劇☆レヴュースタァライト」っていうアニメをキャラ名をしっかり追いつつ見てたんですが・・・「大場なな(だいば なな)」っていうキャラクターがいて・・・用語とかが複雑怪奇な中で唯一見た目とキャラデが一致している優しいキャラだって
https://revuestarlight.com/character/
虚空 なんだかセーラームーンのノリだね、名前のつけ方が。月野うさぎ・・・・
https://animevideojp.com/archives/7281 (二話、英字幕あり・画質悪)
諷虹 (少女歌劇☆レヴュースタァライトのそれぞれの口上を調べる)
この言葉の雰囲気って・・・・
華恋:
星屑溢れるステージに可憐に咲かせる愛の花!
生まれ変わった私を纏い煌く舞台に飛び込み参上!
99期生愛城華恋!みんなをスタァライトしちゃいます!


ひかり:
強く掲げた手の平すり抜け奈落に落としたあの日の誓い
再び登る運命の舞台たとえ悲劇で終わるとしても
99期生神楽ひかり。全てはスタァライトのために!


まひる:
煌く舞台が大好きだけど煌くあなたはもっと好き
まわるまわるデュエットでずっと2人で踊れたら
99期生露崎まひる。ずっと傍にいたのは…私なんだよ


純那:
人には運命の星がある。綺羅星、明け星、流れ星。
己の星は見えずとも見上げる私は今日限り
99期生星見純那!掴んでみせます自分星!


なな:
舞台に実ったたわわな果実。だけどみんな柔らかだから
誰かが守ってあげなくちゃ。99期生大場なな
私が守るの。ずっと。何度でも!


香子&双葉:
歌に踊りに行き帰り歩み進んだ二人道
だけど私も見つけちまった。夜空にそびえる一本道
99期生石動双葉!気合い入れて突っ走ります!
99期生花柳香子!最後までつきおうてもらうで!


クロディーヌ:
輝くチャンスは誰もが平等。だから愛のダンスで誰より熱く
自由の翼で誰より高く!
99期生次席西條クロディーヌ!C'est moi,la star!


真矢:
月の輝き星の愛。数多の光集めて今あなたの心に届けましょう
99期生主席天堂真矢!今宵煌きをあなたに!


虚空 歌舞伎だよね。前にも調べたじゃない「五七調」での・・・


ネット記事
七五調
和歌や俳句を見てもわかる通り、七音五音が連なった七五調は日本語と最も相性が良く、心地よく響く理想的な言葉のリズムといえるでしょう。歌舞伎のせりふにも七五調は多く登場しますが、特に代表的なのは幕末から明治にかけて活躍した作者の河竹黙阿弥でしょう。

黙阿弥のせりふはその多くが七五調の美文で綴られ、弁天小僧の「知らざあ云って聞かせやしょう、浜の真砂と五右衛門が」、お嬢吉三の「月も朧に白魚の、篝(かがり)もかすむ春の空」、河内山宗俊の「悪に強きは善にもと、世のたとえにも云う通り」など、どれも自然に耳になじんで観客を心から酔わせます。(金田栄一)


虚空 現代もののアニメでも、口上とかになると歌舞伎の古典的な手法が使われているというのが面白いよね。日本語としての言語構造は変わっていないから当然といえば当然なんだけど・・・
(動画をみつつ) 何でここで「きりん」なのかね??????

細かいことだけどさ、舞台俳優が主人公のミュージカル仕立てなんだから、そういう歌い方ができる人で全員決めてほしかったというのがあるな・・・
声量っていうかさ・・・。舞台向けの発声の人と、それとはちょっと違う人とが混在しているから、そうでない人がアラとしてみえてしまう。歌もセリフでも。

「メルクストーリア -無気力少年と瓶の中の少女-(セレナ[171]、フォルナ[172]、ヴォイシア)の舞台の上で歌う鳥のキャラを演じていた日笠陽子さんなんて、アニメ内でもすごかった

☆「型の文化」・・・自由が自分勝手にならない世界

2019年12月7日 諷虹・虚空のやりとり後半です。


心意伝承的なことが内在されているという話から発展しました。


「本音を大切にする教育」「子ども中心の教育」という立場に対して従来から反論される根拠の一つが「単なる我が侭で自分勝手な大人にしてしまう」という点です。


確かに現代社会のように身勝手な振る舞いや犯罪があまりに日常化しているのをみると、そのような懸念が出るのがむしろ当然だと私も思います。


ただ、だからといって幼い頃から大人の価値観だけでガチガチに縛り付けるというのには、やはり反対の立場です。


日本人が古来から重視していた「型」は、これまでも何度もふれていますが、縛るためのものではなく、想定外の内在するあらゆる自分の可能性を無意識世界から引き出してくれるためのツールだと考えています。レベルが上がるにつれて、他人や大自然や宇宙やあちらの世界等々と共鳴できるようになります。(それは「心意伝承」「集合的無意識(元型)」があるという前提に立っているからなのですが・・・)


今回のやりとりの最後は、諷虹君の「量子論(量子ビット)」の考え方、それからさらに飛躍して、ガンダムUC(ユニコーン)の世界観で締めくくられています。



諷虹 型がちゃんとできているから、想定外のアイデアが出た時にもすぐに対応できるわけですよね。大枠が決めてあるから。でも細かいところまでは決めない


虚空 それこそ現場でみんなの発想を活かしながら作っていく感覚。
映画監督でもいろんなタイプが・・・自分の脳内のイメージをフィルムに定着させることに執念も燃やす人もいれば、みんなの意見で即興とかアドリブも許容する人とからね。
いつも話題にする市川崑監督は「炎上」あたりまではガチッとプランを決めてやっていたっていうけど「東京オリンピック」からだいぶやり方が変わったって。

日本の組織論も本来は「みんなが主体性を持つ」っていうのがポイントだったわけだよね。

場合によっては司令塔もなしに好き勝手にみんながやっているようで、自然に大きなまとまりで成し得た、というような。

それこそ好き勝手であっても、内なる声に素直に耳を傾けての行動だから、心意伝承的な共通の響き合いは起きている、だから本当の意味での勝手にはならない、って。
さっき「型」っていうのも出ていたけど、能や歌舞伎の稽古なんてまさにそうだよね。共通の型を持っているから、歌舞伎の全体合わせなんて2~3日だっていうし、能に至っては原則としてぶっつけ本番だっていうからね。


諷虹 ガンダムUC(ユニコーン)の中でね、「人間だけが神を持つ。今を超える力。可能性という内なる神を・・・」っていう言葉があって・・・(劇場公開シリーズ6本のうちの1本目のラスト これが全体としてのテーマにも)
量子ビット・・・0と1が内在しているような状態が人間。どんな人間もそれぞれの1を持っていて、それを知っているからこそ、天照大神もあまり口出ししない、っていうのとも通じてくるのかな、って。

そして量子ビットの重ね合わせでものすごい演算能力になるように、活路が見いだせるんだろうな、って。


虚空 そういう点からも量子ビットの話は広く知られて欲しいよね。最先端の科学でもあるけど、古き日本人がもっていた自然な発想でもあったわけだから。それの甦りを今こそ、っていう点でもね。

(ポイントとなる演説シーンを視聴・・・詳しくは後に記載)

虚空 こんな言い方をしたら台無しかもしれないけど、「幸せの青い鳥」のガンダム版っていう感じ?
ラプラスの箱をみつけて最後にフタを開けたら「みんなに内にすべての答えがある」っていう内容だったんでしょ?
まあ、日本神話の禊の場面とか、西田幾多郎の純粋経験って言い換えてもいいかもしれないけど。


☆資料 ポイントとなる演説シーンの内容
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(*小説第1巻およびOVA版episode 1より。ただしOVA版のパンフレットでは一部がカットされている[1]。)
 地球と宇宙に住むすべてのみなさん、こんにちは。わたしは地球連邦政府首相、リカルド・マーセナスです
間もなく西暦が終わり、我々は宇宙世紀という未知の世界に踏み出そうとしています。この記念すべき瞬間に、地球連邦政府初代首相として、「みなさんオール・ピープル」に語りかけることができる幸福に、まずは感謝を捧げたいと思います。
わたしが子供の頃、首相や大統領が語りかけるのは自国の国民と決まっていました。国家とは国民と領土の統治機構であり、究極的には自国の安全保障のためにのみ存在するものでした。いま、人類の宿願であった統一政権を現実のものとした我々は、旧来の定義における国家の過ちを指摘することができます。人間がひとりでは生きていけないように、国家もそれ単独では機能し得ないことを知っています。ことに地球の危機という課題に対して、旧来の国家はなんら有効な解決策を示しませんでした。二十世紀末葉から指摘され始めた人口問題、資源の枯渇、環境破壊による熱汚染……。いまや後戻りの許されないこれらの問題を解決するには、我々ひとりひとりの意識改革が不可欠だったのです

一国家、一民族に帰属する”我”ではなく、人類と言う種に帰属する”我”。この観点に立たない限り、我々は今日という日を迎えられなかったでしょう。前身機関の設立から五十年あまり、人類宇宙移民計画とともに歩んできた地球連邦政府の歴史は、決して平坦なものではありませんでした。国家、民族、宗教……これらの壁を取り払い、人類が本当にひとつになるためには、まだまだ多くの試練を乗り越えなければならないことも事実です。
しかしいま、我々はスペースコロニーという新しい生活の場を手に入れました。間もなく始まる宇宙世紀とともに移民も本格化し、多くの人が宇宙で暮らすことを当たり前とする時代が来るでしょう。これは人の重さに押し潰されそうな地球を救うべく、人類が一丸となったことの輝かしい成果です
西暦と呼ばれた次官が、人類が人類たるアイデンティティを確立した揺籃期ようらんきとするなら、宇宙世紀はその次を目指す時間となることでしょう。我々は産児制限によって人の数を減らすのではなく、人口に見合った空間を外に開拓する道を選びました。小さくなった揺り籠から這い出した赤子は、成長をしなければなりません。我々は宇宙移民計画を実現する過程で、共通の目的のためならひとつに結束できると世界に証明しました。では、その次は?
宇宙世紀UC。ユニバーサル・センチュリー。字義通りに訳せば「普遍的世紀」ということになります。宇宙時代の世界であるなら、ユニバース・センチュリーとするべきでしたが、我々は敢えて用法違いと思われる「普遍的ユニバーサル」を選び、新しい世紀の名前としました

わたしはかつてのアメリカ合衆国で生まれ、ドイツで幼年期を過ごし、フランスで少年時代を過ごしました。学生時代はアジアで暮らし、妻はアラブとヨーロッパのハーフです。わたしの両親も似たようなもので、祖先を振り返ると、実に三十以上の国の血が混じり合い、いまのわたしが形作られていることがわかります。あらゆる色の肌、あらゆる民族の血がわたしの中で息づいているのです。その「普遍的」な出自から、地球連邦政府初代首相の栄誉を授かることにもなったのですが、このような背景を持つ方は他にも大勢おられるでしょう。二十一世紀から本格的に始まった通信技術の発達、相互依存経済による世界の並列化が、血と肌の混合を推し進めたのです。連邦政府の樹立による国境の無力化と、世界標準語の制定によって、この傾向は今後ますます加速することと思います。それはもう、なんら特殊なことではありません。
宇宙で人が暮らすということ。そのために、全人類が一丸となって移民計画を推進してきたことも、また然りです。この奇跡を、特殊な事例にしてはならない。人類はひとつになれるという事実を普遍化し、互いを拒絶することなく、憎しみ争うことなく、一個の種として広大な宇宙と向き合ってゆく。ユニバーサル・センチュリーという言葉には、そんな我々の祈りが込められています
わたしはどのような宗教にも属していませんが、無神論者ではありません。高みを目指すため、自らの戒めとするため、己の中により高次な存在を設定するのは、人の健康な精神活動の表れと信じています。西暦の時代、それは神の言葉としてさまざまに語られてきました。人はどのように生きるべきか。いかにして世界と向き合うべきか。モーセが授かった十戒の例を持ち出すまでもなく、それらに対する教えはあらゆる宗教に伝えられています。人間の言葉ではなく、人と神の契約の説話として。
いま、神の世紀に別離を告げる我々は、契約更新の時を迎えようとしています。今度は超絶者としての神ではなく、我々の中に存在する神――より高みに近づこうとする心との対話によって。宇宙世紀の契約の箱は、人類がその総意から生み出したものであるべきでしょう

この首相官邸の名前、<ラプラス>の語源についてはご存じの方も多いでしょう。十八世紀のフランスに生まれた物理学者の名前です。ラプラスは、過去に起こったすべての事象を細大もらさず――原子一個の動きに至るまで――分析することで、未来は完全に予測できると考えました。この考えは、のちに量子力学の発達によって否定され、いまでは未来を完全に予測する術はないことが証明されています。我々は、その経緯を逆説として受け取り、この首相官邸に<ラプラス>の名を冠しました。「未来にはあらゆる可能性がある」という意味を込めてのことです。
ご承知の通り、地球軌道上のステーションに首相官邸を置くことについては、さまざまな議論がありました。交通の利便性や警備上の観点からすると、確かに望ましい選択とは言えません。しかし、我々は宇宙世紀に踏み出そうとしているのです。この宇宙こそが人類の新たな生活の場となるのです。その途上に立つ者として、地球と宇宙の狭間に身を置かねばわからぬこともあると思い、わたしは首相権限でこれを押し通しました。西暦の最後の日、改暦セレモニーとともに宇宙世紀憲章を発表するのであれば、その舞台はここを置いて他にないとも考えました
今日、ここには地球連邦政府を構成する百ヵ国あまりの代表が集い、吟味に吟味を重ねた宇宙世紀憲章にサインをしました。間もなく発表されるそれは、のちにラプラス憲章とよばれ、人と世界の新たな契約の箱として機能することになるでしょう。
地球連邦政府の総意のもと、そこには神の名はありません。人類の原罪についても言及されていません。これから先、もし最後の審判が訪れるとしたら、それは我々自身の心が招き寄せた破局となるでしょう。すべては我々が決めることなのです
いま、我々の目の前には広大無辺な宇宙があります。あらゆる可能性を秘め、絶え間なく揺れ動く未来があります。どのような経緯でその戸口に立ったにせよ、新しい世界に過去の宿業を持ち込むべきではありません。我々はスタート地点にいるのです。他人の書いた筋書きに惑わされることなく、内なる神の目でこれから始まる未来を見据えてください。
現在、グリニッジ標準時二十三時五十九分。間もなくです。この放送をお聞きのみなさん、もしその余裕があるなら、わたしと一緒に黙祷してください。去りゆく西暦、誰もがその一部である人類の歴史に思いを馳せ、そして祈りを捧げてください。
宇宙に出た人類の先行きが安らかであることを。宇宙世紀が実りある時代になることを。我々の中に眠る、可能性という名の神を信じて――
 
 
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